さあて、銀行のウラ話でもしましょうか。
女子行員の不倫に、来ないで欲しいよ銀行強盗、そしてヤクザ屋さんとのお付き合い。
10年以上働いた僕の実体験談。
こんなに暴露しちゃって大丈夫かしら(笑)
一応、僕にも守秘義務があるので、内容をボカしたり、話を盛ってたりする部分があるかもしれません。なにとぞご了承ください。
読み物として、お楽しみいただければ幸いです。
魔性の女子行員たち
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銀行員ってどんなイメージ?
「マジメ」、「硬そう」、「優等生が多い」?
そんなことはない!
高ストレス職場の反動からか、貞操観念がないヤツが意外と多い。
派遣職員さんが入るたびに手を出していた、イケメンの先輩もいたな。
魔性の女性たちの話をしようか。
例えばAさんという先輩女子行員。
眼がぱっちりとして、カールのかかった茶髪が美しい派手な女性。
僕が知っているだけで、なんと過去5人の既婚男性と不倫をしていた。
他人のモノをとるのが楽しいのか、あるいは既婚者だと安心するのか。後くされがない恋がしたいのか……
飲み会の席で隣になった時にコッソリと
「私、〇〇さんと不倫してたのよ。デートでワリカンとか、ケチだったからすぐに別れたけど……」
なんて打ち明けられた時はビックリした。
今でも独身貴族を楽しんでいるみたいだ。不倫のクセは直ったのだろうか?
もうひとり、後輩のBちゃん。
こちらは黒髪ロングで目が切れ長の清楚系和風美人。
かわいそうに、勤続3年目でド田舎に飛ばされたんだけど、そこでチャッカリ既婚の上司と不倫していた。
なぜか京都の河原町でその上司と手をつないで歩いているのを見た時は、こっちがビビったわ(笑)
繁華街で仲良さそうに手をつなぐとか、どういう神経してるねん。
あとからメールが来て「絶対ナイショにしてくださいよ!」ってクギをさされたっけ。
今では、何も知らない真面目な同僚をつかまえて結婚して2児の母になっているよ。
いやあ、女性って、コワイですね。
命を狙われた支店長
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「ごるぁぁぁぁ! オマエじゃ話にならん! 支店長出さんかい!」
昼下がりの銀行の支店内。中年のおっちゃんが融資係のカウンターで吠えている。
それをなんとか必死でなだめている係長。
一昔前の銀行ではよくある光景だった。
しかも、僕が駆け出しの頃にいた支店は、京都でもさらにガラの悪い地域にあったので(笑)
こういうシーンは日常茶飯事だった。
でも、この客は何か様子が違う。
通常、窓口でイキっているオッサンオバサンというのは、待ち時間が長いとか窓口の対応が悪いとかひとしきり叫ぶと
「次から気をつけろや」
みたいな感じでどこか満足して帰っていくのだが、その中年男性は体から発する雰囲気が違っていた。
死地におもむく兵士のような、追い詰められたオーラというか悲壮感がただよっているのだ。
「あの人、何であんなに怒っているんですか? 前も来てましたよね?」
隣の席の女性の先輩に小声でたずねてみた。
「ああ、Cさんね。こないだ支店長が代弁実行したから、住む家がなくなっちゃったのね」
Cさんの息子が会社をやっていて、うちの銀行はそこに融資をしていた。
だが、不景気で会社が倒産。Cさんは息子の保証人になっており、自宅も担保に入っていた。
で、お金を返せない……となると、銀行はCさんの家を競売に掛けちゃうわけね。
いやーー保証人ってコワイですね。なっちゃダメ、ゼッタイ!
「Cさんは支店長にだいぶ掛け合ったらしいんだけど、うちも契約だからね……。それで支店長が恨まれているわけよ」
まあ、係長が「支店長は不在です」とか「来客中ですとか」なだめながらのらりくらりと交わすので、お目当ての支店長には会えないわけだが。
Cさんはその後何回も来た。
しまいには、警備員につまみ出される始末。
それでも懲りずにやってくる。
そんな中、事件は起きた。
当時僕は預金係といって、窓口の後ろの方で、定期預金の書類の記入や住所の変更・印鑑の紛失などの事務をやっていた。まあ、見習いって感じだね。
その日もCさんがいつものように現れ、融資の係長が対応していた。
例によって支店長を出せというのだが、こんな時に支店長を出しても良いことなど一つもないので、いつも通り係長が対応。
あー、今日も来たよ、係長かわいそうに、また時間とられちゃうじゃん。あの人が来ると仕事になんないもんなぁ……。
なんて僕がのんきなことを考えていると……
なんと!
Cさんはカバンから包丁を取り出したのだ!
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「ええかげんにせい! ワシは支店長を出せというとるんや!」
一瞬にして凍りつく、店内。
窓口からは女性客の悲鳴が聞こえる。
「ど、どうか落ち着いてください……」
さすがの係長もテンパっている。
「ワシは死ぬ気で来とんじゃ! 出せというとるやろうが!」
冴えない感じのオッサンだと思っていたが、包丁をかざして凄まれると迫力がある。
僕は10メートル以上も離れていたが、心臓がバクバクとなって怖かった。
命の危険というのを感じたのは、この時がはじめてだったかもしれない。
Cさんはなおも包丁片手にワアワアとわめいていたが、幸いなことに誰かに斬りつけたりとか、けが人はなかった。
そして、彼の「支店長を出せ」という思いは通じることはなく……
誰かが非常通報ベルを押したのだろう。
その後、駆けつけた警察官によって取り押さえられたCさん。
その後ろ姿は、どこか悲しげであった。
カネは人を狂わせる。そんなことをまざまざと見せつけられた事件だった。
うたの、組事務所に軟禁される!?
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僕が銀行の外回りになったばかりの頃の話。
支店長「うたの、〇〇産業へ訂正印をもらいに行ってくれないか? 係の子がミスちゃってさ」
銀行の人は間違いなんてしない、と思うかもしれないが、銀行員も人間なのでミスはある。
契約書の不備、印鑑ももらい忘れ、うっかり間違い……なんてのもあるな。
こういう時は外回りの人間がお客様の自宅まで行って、謝罪するというのが恒例で。
まあ、駆け出しで割とヒマだった僕にお話が回ってきたわけだ。
住所を元にたどり着いたのは、りっぱな屋敷だった。
塀で周りをぐるっと囲まれていて、監視カメラがいくつもある。なんか要塞みたいだ。
チャイムを鳴らすと、「まあ入れや」という中年の男性の声がした。
通されたのが、重厚なつくりの応接室。
さすがにトラのはく製とかはなかったけど、掛け軸が飾ってあったり、高そうな置き時計がおいてあった。
痩せ気味の中年男性に革張りのソファに座るように促される。
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こ、こちらの不手際で、大変申し訳ありません
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うわぁ……いつの間にか! チンピラが現れて、入り口を塞いでるっ!
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もしかしてこの会社……。ヤクザとか!?
(現在では、コンプライアンスの整備等で、ヤ◯ザやさんとは取引をしないことになっていますが、当時はグレーな人にもお金を貸してました)
僕は実は、ヤクザ屋さんには結構耐性があって。高校の同級生がテキ屋の元締めだったり、学生の時に麻雀荘に出入りしていて小指がない人と一緒に麻雀を打ったりしていたので。
まあ、コワイっちゃコワイんだが、対策がないわけではない。
とりあえず、命を取られたり、ケガをさせられたりというのはない。
奴らは損得で動くから、誠意のお金は欲しいけど警察に捕まったら割に合わないのだ。暴対法は年々厳しくなっているしね。
なんせ我々市民には、日本最大の暴力団、警察組織が味方についてますので。
チンピラはともかく、親分の方は話は通じそうだ。
なんとか……。なるかなあ……。
というわけで、僕が何をしたかというと……
バカ相手には、馬鹿になるしかないな……と思って。
ひたすら同じ説明を繰り返した。
たぶん10回以上は繰り返したかと思う。
しまいには、子分のチンピラの方がキレてきた。
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それでも、さらに続けた。こうなったらヤケだ。
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なんと、親分が根負けしてくれた。
やったね。
ヤクザ?の要塞に入ってから約2時間。スーツの脇の下は汗でぐっちょりと濡れていた。
支店に帰ると「いつまで経っても帰ってこない。うたのはどこへ行ったんだ?」という話になっていたらしい。
つーか、駆け出しの小僧にそんな危なそうな所に行かせるなよって思うけど。
銀行にいたからこそできた、貴重な体験ってとこかな。
まあ、二度と経験したくないけどね。
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