文学フリマ。
全国主要都市で開催される、小説や評論、ノンフィクションなどの本の展示即売会。
個人で出展しても、これがなかなか売れない。「30冊売れれば上出来」そんな意見もある。
もちろん出展する目的は人それぞれ……。
仲間とワイワイやりたい。世界でひとつだけの自分の本を届けたい。出展できるだけで幸せ。
しかし、せっかくなら「一冊でも多く売りたい」というのが人情だよね?
僕は普段、弱小金融機関で渉外係をやっている。
厳しいノルマの世界を生き残ってきた、”モノを売ること”に関してはプロだ。
2019年1月20日の文学フリマ京都。
今回初めて売り子を経験した僕が、営業のプロの目線からアドバイスをしてみる。
事前準備は大事! そんなお話だ。
📚第三回文学フリマ京都・開催スタート!📚
本日1/20(日) 16:00 まで、みやこめっせにて開催中!
作り手が自ら作品を手売りするイベントです。入場無料。京都では1年に1回だけ!
ぜひお越しください。
●詳しくは: https://t.co/b5mA2sthAA#文学フリマ #文フリ京都 pic.twitter.com/JFS7dG5maD— 文学フリマ事務局 (@Bunfreeofficial) 2019年1月20日
もくじ
商品が売れるプロセスを知る
そもそも一般的に「商品が売れる」プロセスをご存知だろうか?
営業職にとっては基本のキなのだが、きちんと整理できてない人も多いと思うので、ここで簡単に説明しておく。
(Twitter、投稿サイト、ビラ配布、見本誌やブースでの認知など)
↓
②商品を説明する
(チラシやおためし版、ブースでの声かけ)
↓
③欲しくなる
(商品ラインナップやセールストークによる動機づけ)
↓
④購入する
(名刺やもしオマケをつけるなら渡すのをお忘れなく)
↓
⑤アフターフォロー
(購入は出発点、そこからあなたのファンになってもらおう!)
この5つの流れだ。
営業は準備7割、本番3割と言われるように。実はお客さんに会うまで、そして買いたいと思ってもらえるまでが非常に大事!
以下、それぞれのプロセスにおいて注意する点やコツを挙げていく。
お客さんと出会う
SNSでの宣伝
現時点ではかなり有効な手段。
僕の主戦場は主にTwitterなのでTwitterに関して説明をする。
WEB小説家でTwitterアカウントを持っている人は多い。
Twitterやろう! 宣伝しよう! フォロワー増やそう! 小説家の人はだいたい挨拶すればフォロバしてくれる。(たぶん)
何より、SNSは無料の宣伝ツールだ。
チラシやポストカードの制作はおカネがかかる。
残念ながらフォロワー数が少ないのであれば、フォロワーが多い人と仲良くなっておいてリツイートしてもらうという手もある。
僕でよければ、面白そうな投稿ならRTしますよ。Twitter(@utano_shion)まで。気軽にフォローしてねん。【宣伝】
若い世代にはInstagramを使う人も多いので、写真投稿やイラストに自信のある方はインスタで攻めるのも手だね。
競合はこちらの方が少ない。
投稿サイトでの宣伝
「小説家になろう」だと「活動報告」といって、各作家さんが直近の活動内容を自由に書く日記&掲示板があるので、出展が近くなったら宣伝をしよう。
「小説家になろう」の活動報告はすぐに流れるので、複数回アピールがおすすめ。
(うっとおしくならん程度に)
「文学フリマWEBカタログ」やエブリスタのHPでも「文学フリマ×エブリスタ」というカタログページがあるので、積極的に利用すべし!
SNSと投稿サイトを合わせれば、一気に【③欲しくなる】のプロセスまで進めることも可能だ。
当日:見本誌を出す
文学フリマは「見本誌コーナー」といって、本の現物を一箇所に集めて展示するスペースがある。
実際に客になってみるとわかるが、ブースで作家さんを前にして立ち読みをするのは非常に勇気のいる行為である。
しかも、人目が気になってページをめくっても内容が頭に入ってこない。
その点、見本誌コーナーはゆっくりと吟味できるので、そこからブースに来て即購入というパターンも。
これを利用しない手はない!
当日:看板で目立たせる
始まりました!
美女2人と ブースう-38でお待ちしてます!#京都文学フリマ pic.twitter.com/mCejhCUsDw— ファンタジスタ!うたの🐟🎸文フリ京都う-38 (@utano_shion) 2019年1月20日
座っている後ろに看板を立てたり、イーゼル等で本の表紙やアピールポイントをでかでかと貼るのは非常に効果的。
人間は視覚から情報を得る生き物なのだ。
本の表紙でアピール
例として本の表紙を作ってみた。
右と左、どちらが本の内容がすっと思い浮かぶだろうか?
あるいは手にとってみたくなるだろうか?
通常、左、ですよね?
(ちなみに左のイラストは作成に5時間以上かかっていて、右の写真の方は3分で作ったので、もし右って言われたら僕は泣く……)
デザインはケチらずに、自信のない人は外注しましょう!
こちらも僕のイラストでよければ有料でうけたまわってます。(またもや宣伝)
ちなみに我がブースでも、小学生くらいの女の子が「止まり木旅館の若女将」の可愛らしいイラストに引かれて一冊お買い上げいただいた。
ジャケ買いは、やはり存在するのだ。
商品を説明する
チラシやお試し版を用意しておく
僕の座っていた隣のブースは中高生が100円の文芸誌を売っていた。
チラシが一切無かったので、呼び込みの段階でかなり苦戦をしていた。
せっかくピチピチのJKがいたのに、なんかもったいないよね(笑)
その点、小説の内容やセールスポイントが簡単にわかるモノがあれば、チラシ片手にお客に声をかけやすい。
最悪チラシだけでも受け取ってもらえたら、あとでWEBであなたの作品を読んでくれるかもしれない。
ちなみに僕は自分のブログの宣伝用にA4サイズのチラシを用意して配っていたのだが、A4だと大きかったので半分のA5版あるいはそれ以下のサイズがよいと思う。
ひとことで作品が説明できるように
あなたの作品のポイント、ひとことできちんと説明できますか?
「不思議な旅館で若女将ががんばるお話です。一話完結でさらっと読めますよ」
「漫画化もしています。無料で読めますんでぜひ!」
「女性歌手と銀行員のラブコメ&お仕事小説ですよ」
ブースを流しながら歩く人が多いので、残念ながらあなたの話を長くは聞いてくれない。
求めている人に、確実に届くようなフレーズを工夫して欲しい。
欲しくなる
短編集があると強い
第三回文学フリマ京都【入場無料】
2019/1/20(日) 11:00〜16:00
・会場: みやこめっせ 1F第二展示場C・D面
・詳細: https://t.co/KNhRwNajRW
・入場無料(カタログ無料配布)#文学フリマ #文フリ京都うちのブースは『う−38』です。https://t.co/xnzNiecN5K
皆様のお越しをお待ちしてます! pic.twitter.com/lRTsu9QNMS— 山下真響@文フリ京都/う-38 (@mayurayst) 2019年1月17日
購入する側としては、なるべくハズレを引きたくない。
たとえ500円でも身銭を切っていることに変わりはない。
すまん、僕はケチなのだ(笑)
どうせ読むなら長編よりはまずは短編の方がとっかかりとしてはよいのでは。
スキマ時間に読むこともできる。
短編なら1冊の中で1作品くらいは、お気に入りに当たるかもしれない。
そんなわけで、我がブースでも短編集がまず売れていた。
投稿サイトで読める分と製本用に書き下ろした作品と、両方載っているとさらによいかも。
*全部ネットで読めるのなら、あんまり買う意味がない……という意見もあるので
ゲスなテク(笑)
購入を迷っているお客に対しては
「もう少しで売り切れですよ」(実は在庫がある もう少しの感覚はひとそれぞれ 笑)
「コチラが一番売れ筋ですよ」(そもそも本日の売上がゼロ ネットでは読まれてるんです 笑)
なとど、ある程度ハッタリが入ったセールストークもありだと考える。(信用を無くさない程度に)
文学フリマは、お祭りなのだ。
僕らは、祭りのテキ屋なのだ。
そもそも自分の作品にある程度自信があるから売ってるんですよね?
面白いと思ってるから売ってるんですよね?
いい作品なんだから、じゃんじゃん売ろうよ!
再度念押しするが、信用を落とさない範囲でね……
あいそよくしようぜ
通る人にガンガン声掛けをしろ! とまでは言わないが……
「よかったらチラシだけでも」
「立ち読み歓迎なのでどうぞ観ていってください」
ニコニコしながら声掛けしようぜ。
地味なオッサンがひたすら本読んで店番してる……
ってなると、買う側としてもちょっと近づくのをためらってしまう。
「オレの作品は名作だから黙ってても売れるんだ」
スピートワ◯ンの小沢さん並に甘いよ、その考え(笑)
購入する
執筆から表紙デザイン、製本業者とのやりとり、ブースの申込み、陳列の準備など
数々の難関を乗り越えてきたアナタ……
そんなアナタが作った、世界でただひとつのオリジナル本。
その本を、購入していただける。
まさに、営業努力が実った瞬間である。
おめでとう!!
お礼を言っておカネを受け取り、速やかにお釣りを返す。
名刺やオマケのしおりなどを渡し、よかったらSNSでフォローしてもらって交流をうながす。
購入してもらったという点ではゴールであるが、あなたのファンになってくれるかは、ここがスタートラインなのだ。
アフターフォロー
SNSでフォローいただいたり、投稿サイトにコメントをいただいた場合は、丁寧に返信。
コビを売る必要はないが、楽しく交流していこう。
熱心はファンは、さらにファンを呼んでくれる。
文学フリマ参戦をキッカケに人脈も増えると思うので、さらなるステージを目指して。
創作する上でのあなたの目標は、何ですか?
まとめ
僕はブースの前を通る人になるべく声掛けしてチラシを渡し、商品を説明する。
特に美人なお姉さん相手だとテンション上がる!
合法的に声掛けができる場所、文学フリマ、なんと素晴らしい場所ではないか!
もう少し若かったらナンパもしていたのにな(そして運営につまみ出される……)。ま、冗談はさておき。
営業は数打て! 行動しろ! やった分だけ成果が出る!
ある意味古いスタイルの営業とも言える。
声掛けされるのがうっとおしいという人も一定いるので、その辺のさじ加減は難しいよね。
逆に客としてブースを回ってて思う。
本を読んで単に待っているだけの店主が多い。
それでベストを尽くしていると言えるのか?
たくさんあるブースの中からあなたの本を選んで欲しいんだよな?
書くのは得意だけど、営業はニガテという人は多いのでは?
本記事では営業のコツをエラそうにつらつらと書いてきた。
やはり大事なのはネットでのPRやブースのレイアウト、チラシなどの事前準備。売上の半分はここで決まる!
とくにSNSや投稿サイトでのPRは、「即売会で知らない人に話しかけるのはニガテ」という人でも実践できるので、ぜひやってみてはいかがだろうか? しかもタダ!
感想、補足はうたののTwitter趣味アカ(@utano_shion)、または発信用銀行員アカまでいただけると嬉しい(@utano_bank)
そして、いつかどこかの文学フリマであなたと会えることを楽しみにしている。
スペシャルサンクス。今回の文学フリマ京都でお会いした作家さん達。
紹介記事を並べるので読んでみてね。
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