記念すべき第1回は有月晃(うづきこう)さんです。
まるで情景が浮かんでくるかのような丁寧な描写。お仕事モノから時代劇、ヒューマンドラマ、恋愛モノまで幅広く執筆なさっています。投稿サイトエブリスタの妄想コンテストで見事大賞を受賞されたこともある本格派。
豊富な人生経験に裏打ちされた情景描写が、僕らを物語の世界へと誘う
まずは私のイチオシはこの作品です
<あらすじ>ふとしたことから外資系企業に勤める外国人女性と知り合ったオレ。
人種、国籍、言語や価値観の違いを越えて、若さ故の本能で惹かれ合う二人は、限られた時を共に過ごす。
冬の蜜月が導いた二人の結末は…
前半、主人公とヒロインであるアスティとのコメディタッチな恋愛模様が続き、後半は徐々にシリアスとなっていきます。早く続きが読みたい、でもそんなはやる心をやさしく抑えるかのような丁寧な情景描写。
例えば……
「金属製の重い扉を引いて、薄暗い店内へと足を踏み入れる。
赤を基調とした間接照明が、世界各国のアルコールで満たされた空間をゆらりと浮かび上がらせる。壁面のラックに収まったカラフルなボトルは、まるでこの空間に所在無げに漂うホタルみたいだ」
これ、主人公が通うバーの描写です。
どうです? なんかカッコいいでしょ!?
さあ、大人の恋、二人の行方を見届けてみませんか?
エブリスタ妄想コンテスト大賞受賞作品!
もう一つ、ご紹介
お題、「地下鉄に乗って」で見事大賞を受賞された作品。
<あらすじ>地下鉄に乗って、僕は仕事をする。
曇天のチャイナタウン。
生ゴミの腐臭漂う路地を抜けて、たどり着いた漢方薬局。
使い捨ての携帯電話を受け取った僕は、ホテルに潜伏してその時を待つ……
暗殺者が主人公のハードボイルドものです。
まるでショートムービーを見ているかのよう。
文字数5000文字ほどで気軽に読めますよ。
読後感が凄すぎて気軽にならないかもしれませんが(笑)
他にも経済系の短編、『報酬としての断罪』 や
有月さんの実体験が元になっているヨーロッパの最果ての寒村が舞台の不思議な小説、『ソパ デ マリスコス』 など色んな経験をお持ちのようで、物語の奥行きが鋭く感じられます。
では、有月晃さんへのインタビューいってみましょう
■創作するようになったキッカケ
電車乗ってたらフッと情景が浮かんできて、それをスマホに書き留めました。 細部を補完してたら「あれ? なんか小説っぽくなってきたかも」って。小説投稿サイトで公開して、今に至ります。
■どんなことを考えながら創作していますか?
あまり深くは考えてません。ただ頭の中に浮かぶ情景を、文字に落とし込んできました。 でも、そろそろ中身ある作品書かないと続かないな……とか考えてます。ぼんやりと。
■今後の野望など
読者さんから文章力には一定の評価を貰うのですが、私としてはまだまだ研鑽の余地有りと認識してます。そこを詰めながら、作品としてもっと厚みある、重たい物を書いていきたいなと思ってます。
実力は秘めているけど、それでいて飾らない。黒澤映画に出てくる野武士のようなお人柄……なのかな。
それでいてツイッターではユニークな方で、有月さんとはよく男のこだわり(スーツや筆記具)についてや、しょうもないお話などもさせていただいてます。私生活では二人のお子さんをお持ちの良きパパのようで、忙しい合間を縫って執筆されているようです。
有月さんは、ツイッター をされてらっしゃるので、よかったら覗いてみてはいかかでしょう!
有月さん、快く掲載許可をいただきありがとうございました!
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