引き続き、日本仏教界が生んだスーバースター空海の生涯とその教えをわかりやすく振り返りますよ。
空海好きすぎて語りだすと止まらなくなるので、だいぶ原稿を削りました(笑)
前編はこちら ↓
真言宗(密教)と何か?
ざっくりと解説していきます!
真言(しんごん) …まことの言葉
密教(みっきょう)…秘密の教え
簡単にいうと
色々なほとけさまの力を借りて願い事をかなえちゃうよ。
でもさ、アメリカ人に日本語で喋っても意味が通じないのと一緒でさ。
やっぱ、ほとけさまにきちんと願い事を届けるには、真言(仏教の生まれた古代インドのサンスクリット語)でお祈りしないととダメだよね。
ほとけさまはすごいチカラを持ってるんだけど、その分ちゃんと手順を踏んでお祈りしないとダメなんだ。
お祈りの方法は取扱注意。だから書物にはしないで口伝で秘密にして伝えるね。
って感じです。
大日如来(だいにちにょらい)
真言宗で最も重要視されているほとけさま。
宇宙の真理、宇宙そのもの。
万物にあまねく存在している、King of ほとけ。
即身成仏(そくしんじょうぶつ)…現世の体のままで仏になること。
今までは仏教は鎮護国家、つまり国に天災や疫病をしずめるために輸入された外国の教えでした。
天皇や皇族の病気を治すために建てられた寺院も奈良時代にはありますが、それはごく一部の人のためのもの。
しかも奈良の仏教は政治と結びつきすぎてどんどん堕落していきます。
もっとオレたちの役に立つ教えってないの?
そんな時代に現れた空海。
きっと時代を見据えた眼を持っていたのでしょう。
空海の解く教えは祈祷による現世利益をもたらします。
これが、当時の皇族や貴族にめちゃめちゃウケました。
病気を治すお祈りをして欲しい。
空海の雨乞いの祈祷はめっちゃ効くらしい。
プラシーボ効果もあったかもしれませんね。
*本来は効く成分のない薬(偽薬)を投与したにもかかわらず、心理的な思い込みによって病気が快方に向かったり治癒すること
こうして、エリートコースを捨てて仏教に賭けたかつてのニートは、仏教界に一大イノベーションをもたらしたのでした。
高野山と東寺
では、その後の空海の軌跡を振り返ってみましょう。
当時の都は、平安京に移ったあとのゴタゴタや薬子の変(810年)もあり非常に混乱していました。
時の嵯峨天皇も、身内と天皇の座を争うという出来事に疲れ果てていました。
そこに現れた空海。「私の持ち帰った密教で、国が安定するように大体的にお祈りをしましょう」
嵯峨天皇は中国の文化や学問が好きだったみたいで、空海はまさにうってつけの人物。
ここで時の権力者のハートをがっちりキャッチ。
816年に天皇より許可を得て高野山(和歌山県)に金剛峯寺を開きます。
現在でも宗教都市として有名な、高野山の始まりです。
それでも、やっぱり空海をそばに置いておきたい嵯峨天皇。
「東寺をあげるからさ、国のために祈ってくんない?」
現在は京都のシンボルとして知られる五重塔がある東寺。それも空海が嵯峨天皇からたまわったものでした。
塔ってどんな意味があるの?
世界遺産 京都 東寺 ↑
では、ここでクイズです。
Q.寺院における塔とは元々どんな意味があったでしょうか?
①目印
②お墓
③見張り台
正解は
…
…
…
②のお墓です。
仏教寺院における塔とは、仏舎利(シャカの遺骨)をまつるためのものでした。
初めは塔がお寺の中心だったのですが、時代がたつにつれて仏像をまつる金堂や本堂がお寺の中心となっていきます。
サンスクリット語では、「ストゥーパ」といいます。
ちなみに現在でも仏教徒がお亡くなりになった時、「卒塔婆(そとば)」という細長い木の板に墨で文字を書いてお供えしますが、これは上記の「ストゥーパ」からきています。
空海は今でも生きている?
日本仏教界に多大な功績を残した空海は835年、高野山・奥の院にて入定しました。
入定というと聞き慣れない言葉ですが、真言宗では空海は今でも生きていて我々衆生のために瞑想を続けているという教えがあります。
先程の生きながらにしてほとけになるという、即身成仏の教えを自ら体現しているわけですね。
では、ラストクエスチョンです。
Q.空海が生きていることを示すのに、東寺や高野山で毎朝行われている「あること」とは次のうちどれでしょう?
①空海に食事を運ぶ
②空海を起こすための鐘をつく
③空海の布団をたたんでいる
正解は
…
…
…
①の空海に食事を運んでいるでした。
高野山と東寺では、実は朝晩と空海に食事を運んでいます。
入定から86年後の921年、空海は朝廷から「弘法大師(こうぼうだいし)」の名前をたまわりました。
空海の別名を弘法大師と呼ぶのは、これにちなんでいるわけですね。
大師号をもらったお坊さんはたくさんいるのですが、「大師さんといえば空海」というくらい今でも庶民に慕われています。
四国八十八ヶ所は空海が若い時に修行したあとを辿る巡礼の旅と言われ、今でも参拝者が絶えません。
また北海道をのぞく日本各地に、空海が独鈷杵(密教の法具)で掘った井戸や、空海が発見した温泉、などといった伝説が残されています。
では、最後に私の好きな空海の言葉でしめくくりましょう。
人間は誰もが胸の中に宝石となる石を持っている。
一生懸命磨いて、美しく光り輝く玉になる
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