昨年、世間を騒がせたスルガ銀行の融資問題。
エリート集団の蛮行に驚かれた方は少なくないだろう。
参考記事「オマエの家族皆殺し」スルガ銀、上司による壮絶な恫喝(朝日新聞デジタル)
彼らが何をしていたのか? 朝日新聞の記事をザッとまとめると。
■他の銀行との差別化のため、シェアハウスへの融資を始める
■過酷なノルマ
■「数字が取れなきゃ、ビルから飛び降りろ!」といったパワハラの嵐
■組織ぐるみで書類を改ざん
■不正が発覚して各方面から絶賛フルボッコ中(←今ココ)
にわかに信じがたいエリート達のウラ側が明るみになったわけだが、金融機関に勤めている人なら多かれ少なかれスルガの行員たちに同情せざるを得なかったのではないだろうか。
これは決して、対岸の火事ではない。
どこの銀行でも、大なり小なり、同じことをやっている。
銀行員を追い詰める、過酷なノルマ
銀行というは、基本ありえないノルマが各職員に課せられる。
それを超人的なスキルで片付けるか、重点項目だけやって適当にお茶をにごすか(今の僕がコレな 笑)、上司に詰められながらめげずに生きるか。の三択だ。
「このローン、ここの数字をちょっと変えれば審査が通って、僕のノルマも達成できるのにな」
「これで上司に、怒られずに済むよな……」
やる、やらないかは別にして、こう思ったことのある銀行員は絶対いるはずだ。
(少なくとも僕は思ったことがある)
感覚としては、「子どもが泣き止まないから、もうどうしようもないし引っ叩いちゃおう!」に近い。
これも僕は思ったことある。つーか、実際やったし。(すまん、許せ)
悪いとわかっているけど、追い詰められるとやってしまう……
これがさらに追い詰められると、虐待やネグレクトといった行為になる。
会社なら、不正へとまっしぐらだ。
ゆうちょ銀行、投資信託や保険を貯金と誤認させて押し売り
郵便局が保険を“押し売り”!? ~郵便局員たちの告白~ 『NHKクローズアップ現代』
民営化したゆうちょ銀行は、収益改善のために現場に過酷なノルマを課した。
狙われたのは、お年寄りだ。
投資信託、これはリスクのある商品で市況によって価値が上がったり下がったりするので、元本を割れるリスクもある。(かといって一概に危険ではないので上手く使うように。まあ、それはそのうち書く)
これを売ると銀行は手数料収入を得ることができる。
だいたい100万円売って、2%くらい。この低金利のご時世、この収益はおいしい。
保険もそうだ。手数料が銀行にとっておいしいビジネスになる。
しかも保険は、中途解約すると元本が8割以下になってしまうという、ボッタクリバーも裸足で逃げ出すような商品もある。
そりゃあ、まさか郵便局の人が自分をダマしてくるとは思わないでしょうよ。
ちなみに、ゆうちょ銀行は上記のスルガ銀行と提携した住宅ローンを取り扱っているので、さらにマスコミを騒がせてくれるかもしれない。
合法なんです! カードローン
これは合法なのだが
総量規制で行き場を失ったサラ金(消費者金融)はどこも銀行の傘下に入った銀行も低金利時代で収益を上げるため
サラ金を保証会社
そして銀行を窓口にした金利の高いカードローンが横行している楽●カードもヤバいから手を出すなよ
一度借りたら死ぬまでむしり取られるぞ
— うたの@ゲスな銀行員😈筋トレ中 (@utano_bank) 2018年9月8日
〇〇銀行グループ、カードローン!
急な出費で、もしもの時に!
AKB48や永作博美、なんとタモリさんまで
第一線のタレントを惜しみなく使ったテレビCM。みなさんもご覧になったことがあるだろう。
試しに赤い色の都市銀行をネットで調べてみると
借入額 200万円 返済月数 168ヶ月(14年間)
金利 年13.6% 返済額 毎月26,684円
これで、支払う利息が、14年間で248万円 もちろん元金200万円は別にきっちり返さないといけないので。
倍返し以上じゃねえか(笑)
これを銀行の窓口のお姉ちゃんがにこやかに売っている。
笑顔のウラでは、ノルマに追われている。
これが、銀行の現実だ。
繰り返すが、これは合法的に売られている商品だ。
一応、規制しようとする動きはあるが……
銀行「僕らで内部でちゃんとルール作ってやりますから、大丈夫っすよ」
金融庁「あっ、そう。じゃあしばらく様子見ようかな……」←おいっ!
というわけで、現在も放置されたままだ。
スルガ銀行の職員が悪いのか?
以上で銀行がいかにクソかがわかっていただけたかと思う(笑)
では、不正に手を染めた末端の職員が悪いのか?
僕にはそれを責める気にはならない。
暴力で脅され、家族を半ば人質にとられ……むしろ被害者だろうよ。
まあ、役員はギロチンで処刑してもいいレベルだと思うけどね。
もっと言うと、こういった不正は大手企業でも大なり小なり行われていることだ。
神戸製鋼のデータ改ざん、日産自動車の無資格検査、東芝の利益水増し不正会計……など。
書くだけでイヤになってくるね。
原因は何だ?
コンプライアンス意識の欠如、企業の社会的責任意識、リーダーの資質が問われている??
いや、違うね。もっと根本的な所に問題がある。
「人を責めずに、仕組みを責めろ」
ならば、世の中の仕組みについて、もう少し考えてみてもいいんじゃないか。
行き過ぎた資本主義
金融とは、「お金を融通すること」。
お金を循環させて、世の中をよくしていくこと。
元々、その理念があって銀行や信用金庫は作られたものだ。
団体は、年月が経つにつれ当初の意義を失い、自らの存続を最優先に動くようになってしまう。
目的と手段の入れ替り。
世の中をよくするために会社がある、じゃなくて会社を存続するために世の中を食い物にする。
ライバルに負けたら僕たちの生活があぶない!
ライバル企業を出し抜かなくっちゃ!
それなら、汚い手を使ってでも……!?
これから日本の労働力人口はどんどん減っていく。つまり、日本国内で商売をするにはさらに競争は過酷になっていくということだ。
これじゃあ、みんな疲れちゃうよ。それで本当に良いのだろうか?
銀行員の一人として胸に手を当てながら、考える所存である。
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